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平成30年12月「航技研 VTOL 実験機フライングテストベッド」

ID番号 K27127更新日 平成30年12月1日

航技研 VTOL 実験機フライングテストベッド

2018年3月24日に、各務原が日本に誇る航空・宇宙専門博物館として、「岐阜かかみがはら航空宇宙博物館(空宙博:そらはく)」がリニューアルオープンしました。今年度は特別に、博物館で実際に展示されている機体を解説していきます。
登場するのは、博物館や航空機を愛してやまない方ばかり。機体への愛情あふれる皆さんが語る魅力や見るべきポイントをお楽しみください。

第8回目の解説者は、学芸課の藤橋未花さん

藤橋さんの写真

11月25日まで開催していた「はやぶさ2」の企画を担当し、どんな人にも分かりやすいパネルの展示を心がけました。3月のリニューアルで宇宙部門の展示が増えたこともあり、航空と宇宙の両方について学んで、興味を持ってもらえたらと思います。
また、これまで航空宇宙に携わってきたボランティアの方と会話ができることも、空宙博の魅力の一つです。その人ならではの「生きた情報」を聞きながら、空宙博の展示を楽しんでみてください。

VTOL 実験機フライングテストベッドとは…

科学技術庁航空宇宙技術研究所(NAL / 現 JAXA)によって作られた「VTOL 実験機フライングテストベッド」は、日本が開発した初めてのリフトジェット式垂直離着陸実験機です(VTOL 機:Vertical Take Off and Landing)。ジェットエンジンの排気で垂直離陸する機体で、将来のVTOL 実用旅客機の開発を目指して作られましたが、経済性や騒音などの問題から、開発はこの1機だけで終わりました。科学技術庁航空宇宙技術研究所における開発研究を経て、富士重工業が設計・製作したものです。この機体で得られた各種実験技術は、H-2ロケットを用いた日本の月着陸船構想の検討段階などで参考にされました。

「航技研 VTOL 実験機フライングテストベッド」の写真

【航技研 VTOL 実験機フライングテストベッド 機体データ】

  • 全長:10メートル
  • 全高:3メートル
  • 全幅:7メートル 
  • 全備重量:2000キログラム
  • 搭載エンジン:石川島播磨JR100F(基垂直型ターボジェット) ×2
  • 最大推力133キロニュートン(1370キログラム)×2
  • 乗員数:1人

VTOL(ブイトール)機とは…

滑走路を必要とせず、ヘリコプターのように垂直に離着陸し、通常の飛行機と同様に翼を使って飛行するような機体は、VTOL機と呼ばれています。通常の飛行機が、滑走することによって翼に発生する揚力を利用して離着陸を行うのに対し、VTOL機はエンジンの力だけで離着陸を行わなければなりません。また、人口密集地の付近で飛行する可能性が高いため、騒音をより一層低減する必要がありました。

VTOL機研究の始まり

第2次世界大戦後、欧米の航空先進国ではジェットエンジンによる高速の航空機が定着し、1950年代からは動力を直接上昇力として使うVTOL機研究が始まりました。日本でも1960年代になると、世界のVTOL機開発に遅れをとってはならないと、科学技術庁航空宇宙技術研究所を中心に、VTOL実用旅客機開発を目標とした研究が始まったのです。

3つの研究段階

エンジンアップの写真

(1)第1段階・機体の重要な構成部分の開発
研究の第1段階は、リフト・エンジンなどの重要コンポネントの研究試作です。1962年に超軽量リフト・エンジン「JR100」の開発が着手されました。

(2)第2段階・実験機を試作!
第2段階では、1965年に空中浮揚技術の研究を目的としたフライングテストベッド(実験機)の試作に着手します。開発した「JR100」エンジンを母体とするJR100Fジェットエンジン2基を機体に対して垂直に取り付け、下向きに噴出して垂直に浮き上がると共に、エンジンのコンプレッサー(圧縮機)から取り出した高圧の空気を、前後左右のノズルから噴出させることにより姿勢制御を行う方式がとられました。また、コンピューター制御による自動安定装置(SAS)が開発され、パイロットの操縦を補助しました。1970年12月15日に、宮城県角田で初飛行に成功し、高度2.5メートルの上昇能力が実証されました。

飛鳥(STOL)とVTOLの写真

(3)第3段階・垂直、水平飛行技術の研究
第3段階では浮揚、昇降、移動、方向転換などの、垂直飛行・水平飛行への遷移飛行技術の研究を行いました。これと併行し、遷移飛行研究の核となるVTOL 実験機の試作計画も進められたのですが、このVTOL 実験機がジェットエンジンのジェットを直接噴出して浮かぶ方式であったためエンジン騒音が問題視され、加えて燃費が悪いという欠点もあり、本腰を入れたVTOL機の開発までには至りませんでした。この後、日本の航空技術研究の重点は経済性と低騒音性を備える短距離離着陸機研究へと方向転換され、STOL(エストール、Short Take-Off and Landing)実験機・「飛鳥」の開発へと向かうことになります。

実験の後、空宙博に展示されるまで

VTOL機としての各種実験を終えた後、この機体からはエンジンが外され、東京都上野の国立科学博物館にて屋外展示されていました。1995年、かかみがはら航空宇宙科学博物館の開館に向けて国立科学博物館から無償譲渡がなされました。長年の屋外展示で機体は傷んでいましたが、航空宇宙技術研究所からJR100Fエンジンを受領し、東京大学にて保管されていたバーチカル・ジャイロ(計測器)も搭載され、富士重工業の協力を受けて飛行実験当時の状態に復元されています。

先端部分のアップの写真

はしごと人が載る部分のアップの写真

実際に飛行しているようすがわかる写真

藤橋未花さんの「航技研 VTOL 研究機フライングテストベッド」はいかがでしたか?ここでは語り尽くせない機体の魅力は、ぜひ博物館へ足を運んでご覧ください!
次号の機体紹介もどうぞお楽しみに。

このページに関するお問い合わせ

岐阜かかみがはら航空宇宙博物館
〒504-0924 岐阜県各務原市下切町5丁目1番地
電話:058-386-8500 ファクス:058-386-9912