エンターキーを押すと、ナビゲーション部分をスキップし本文へ移動します。

  • ホーム
  • くらしの情報
  • 各務原の魅力
  • イベント
  • 市政情報
  • 事業者の方

現在の位置 : ホームBEST SMILE(ベストスマイル)バックナンバー一覧バックナンバー 空宙博大全 › 平成31年2月「OH-6J 新型式ローター・システム実験機」


ここから本文です。

平成31年2月「OH-6J 新型式ローター・システム実験機」

ID番号 K27842更新日 平成31年2月1日

OH-6J 新型式ローター・システム実験機

2018年3月24日に、各務原が日本に誇る航空・宇宙専門博物館として、「岐阜かかみがはら航空宇宙博物館(空宙博:そらはく)」がリニューアルオープンしました。今年度は特別に、博物館で実際に展示されている機体を解説していきます。
登場するのは、博物館や航空機を愛してやまない方ばかり。機体への愛情あふれる皆さんが語る魅力や見るべきポイントをお楽しみください。

第10回目の解説者は、学芸課の太刀川友凛さんと坂井田彩月さん

太刀川さんと坂井田さんの写真

太刀川さん(左):小・中学校との連絡調整や、子ども向け企画が担当です。最近では、2月9日から始まる「飛燕ぬりえチャレンジ!」を担当しています。空宙博で展示されているヘリコプターは、珍しい実機も多く、実際にシミュレーションもできるので、小さなお子さんから大人まで楽しんでいただきたいです。
坂井田さん(右):企画展でイベントが開催される際、館内に掲示するポスターなどの作成をしています。また、ヘリコプターの操縦体験のサポートも行っています。2月9日から11日の期間には、飛燕をキャノピー越しに見ることができる企画など、空宙博に携わる私たちでもめったにない貴重な経験ができます。ぜひ、皆さんに足を運んでもらいたいです。

OH-6J 新型式ローター・システム実験機とは…

「OH-6J 新型式ローター・システム実験機」は、日本の航空技術史の中で重要な役割を果たした、価値の高いヘリコプターです。日本の独自開発によってできた、「複合材ベアリングレス・ローター・システム」の飛行実験に使用されました。

「OH-6J 新型式ローター・システム実験機」の写真

【OH-6J 新型式ローター・システム実験機 機体データ】

  • 全長:9.2メートル
  • 全高:2.8メートル
  • 胴体幅:2.6メートル 
  • 重量:1160キログラム
  • 搭載エンジン:三菱CT63-M-5A ターボシャフト 207キロワット
  • 最大速度:時速243キロメートル
  • 乗員数:2人

ヘリコプターの自由自在な動きの秘密に迫る

ローターのアップ写真

ヘリコプターのローター・ブレード(回転翼)は、固定翼機における主翼・昇降舵・補助翼の役割をすべて兼ねています。そのため、その操縦に応じたブレードの複雑な動きや、ブレード根元に生じる大きな荷重を避けるしくみが必要になります。

 

 

ローター・ヘッドのイラスト

ローター・ブレードの取り付け部分であるローター・ヘッドには、ブレードに生じる3軸の運動、フラップ(上下)、リードラグ(前後)、フェザリング(ブレードの角度)を可能にするしくみが備わっています。パイロットによる操縦桿(かん)からの操作は、ローター・ヘッドを介してブレードに伝わり、揚力や推力を変化させて、ヘリコプターの自由自在な動きを実現します。

ローター・システムの種類

ヘリコプターの歴史の中で、全関節型、半関節型、無関節型などのローター・システムが設計・開発されてきました。これらを空宙博に展示されている機体を例に紹介します。

  • 全関節型ローター
    「全関節型ローター」は「KV-107 輸送ヘリコプター」で採用されています。
    各ブレードの根元に、3軸まわりの動きを可能にする関節(ヒンジおよびその動きを可能にするベアリング(軸受)を含む)を持ちます。構造が複雑で構成部品も多くなり、整備点検に時間が掛かるのが難点です。
  • 半関節型ローター
    「半関節型ローター」は「川崎ベル式47G3B-KH4型ヘリコプター」で採用されています。
    ブレード根元の3軸のうち、前後の関節(リードラグ・ヒンジ)を持たない単純な構造が特徴で、初期の多くの小型ヘリコプターで採用されていました。

逆角度で見る実験機の写真

  • 無関節型ローター
    「無関節型ローター」は「川崎KHR-1リジッドローター実験ヘリコプター」や「川崎BK117型ヘリコプター」で採用されています。
    ブレード根元の3軸のうち上下(フラップ)と前後(リードラグ)の関節を持たない代わりに、ブレード付け根部分の部材のたわみ(弾性変形)を利用します。全関節型ローターに比べ、構造を大幅に簡素化できるとともに、運動性が高いのが特徴ですが、ブレード根元に大きな力が加わるため高い強度が必要です。そのため、ブレードの材料技術が向上するまで実用化には時間がかかりました。
    ローターの3軸とも関節(ヒンジ)が無くなれは、重量の軽減、構造の単純化、整備性の向上、高運動性など、さまざまな利点が生じます。そのため、ヘリコプター技術者の究極の目標は「すべての関節を無くすこと」であり、この夢を実現したのが「ベアリングレス型ローター」なのです。

各務原で飛行実験!「新型式ローター・システム」

防衛庁(現在の防衛省)と川崎重工業は、整備性と運動性の向上をねらって、複合材(繊維強化プラスチック)ベアリングレス型ローター・システムを新たに開発しました。このローター・システムをOH-6Jの31058号機に搭載し、1990年から1992年にかけて、「新型式ローター・システム実験機」として、各務原の岐阜試験場で飛行実験が行われました。
この飛行実験で新型式ローター・システムの高い性能が確認され、その成果が後の陸上自衛隊の純国産観測ヘリコプター・OH-1の開発に生かされることになります。

「ハワード・ヒューズ賞」を受賞

OH-1の複合材ローター・システムは、1998年に米国ヘリコプタ協会から、優秀なヘリコプターに贈られる「ハワード・ヒューズ賞」を受賞するという栄誉に輝きました。この賞は、米国のヘリコプター学会が、航空機の開発に尽力した大富豪ハワード・ヒューズの功績にちなんで「実現された垂直飛行技術の顕著な改善」に対して与えられる権威ある賞で、米国の団体や個人以外が受賞者となるのは初めてのことでした。空宙博には、OH-1の開発で製作された実寸大模型(XOH-1モックアップ)も展示されています。

OH-6ヘリコプターについて

胴体(たまご型)の写真

実験機の母体となったOH-6J観測連絡ヘリコプターは、陸上自衛隊の軽量観測連絡ヘリコプターで、アメリカ・ヒューズ社のモデル369型を川崎重工でライセンス生産したものです。
ヒューズ社のモデル369・YOH-6Aの初飛行は1963年2月で、運動性と高速性、低燃費につながる低抵抗に主眼を置いた、タマゴ型胴体が特徴でした。1970年8月までにアメリカ陸軍向けに約1400機作られたほか、民間型も開発されて「ヒューズ500(H500)」の名称で販売され、アメリカや日本、イタリア、韓国でもライセンス生産されました。
1970年代に入ると、ヒューズ社はOH-6の改良に取り組み、ローターを5翅(し)、尾翼をT字型とし、エンジンをパワーアップしたモデル500を開発します。アメリカ陸軍では一部の特殊部隊での使用に留まりますが、日本の陸上自衛隊がOH-6Dとして採用したほか、イタリア、韓国など世界各国の軍隊や警察に採用されました。

日本でも多く生産

シミュレーションコーナーの写真

日本での生産について述べると、1966年に陸上自衛隊がOH-6Aの採用を決定し、機体・エンジン共に国内でライセンス生産することになります。機体メーカーとして川崎航空機工業(現在は川崎重工業)、エンジンメーカーとして三菱重工業が選定され、1967年6月、川崎航空機はヒューズ社とモデル369H型(防衛庁呼称OH-6J、民間呼称H500)のライセンス契約を締結します。1969年3月に、陸上自衛隊へ第1号機が納入され1979年までに陸上自衛隊用117機、海上自衛隊用3機(練習機)が生産されたほか、海上保安庁向けや民間型として計50機以上が生産販売されています。
1979年からは改良型のOH-6Dに生産が切り替わり、1997年の製造終了までにJ型・D型・民間型の合計で378機が生産されました。
ちなみに空宙博のOH-6Jヘリコプターとしては、「新型式ローター・システム実験機」のほか、通常型の機体(31081号機)も展示しています。こちらは操縦体験シミュレーター用に改造されており、操縦装置と連動してヘリコプター模型をリモートコントロールできる教材としても活用されています。

「OH-6J 新型式ローター・システム実験機」はいかがでしたか?ここでは語り尽くせない機体の魅力は、ぜひ博物館へ足を運んでご覧ください!
次号の機体紹介もどうぞお楽しみに。

このページに関するお問い合わせ

岐阜かかみがはら航空宇宙博物館
〒504-0924 岐阜県各務原市下切町5丁目1番地
電話:058-386-8500 ファクス:058-386-9912