エンターキーを押すと、ナビゲーション部分をスキップし本文へ移動します。

  • ホーム
  • くらしの情報
  • 各務原の魅力
  • イベント
  • 市政情報
  • 事業者の方

現在の位置 : ホームBEST SMILE(ベストスマイル)バックナンバー一覧バックナンバー 空宙博大全 › 平成31年3月「航技研 低騒音STOL実験機 飛鳥」


ここから本文です。

平成31年3月「航技研 低騒音STOL実験機 飛鳥」

ID番号 K28289更新日 平成31年3月1日

航技研 低騒音STOL実験機 飛鳥

「岐阜かかみがはら航空宇宙博物館(空宙博:そらはく)」がリニューアルオープンして、2019年3月に1周年を迎えます。
このコーナーでは、博物館で実際に展示されている機体を解説していきます。
解説するのは、博物館や航空機を愛してやまない方ばかり。機体への愛情あふれる皆さんが語る魅力や見るべきポイントをお楽しみください。

第11回目の解説者は、学芸課の水野剛さんと柴田真希さん

水野さんと柴田さんの写真

水野さん(右):航空エリアで、ガイドツアーをしたり、企画展を担当したりしています。古いものから最近まで活躍していた機体まで、時系列で歴史を知ることができるのが魅力の一つです。たくさんの機体を見て、お子さんから大人までさらに飛行機に興味をもってもらいたいです。
柴田さん(左):何も知らなくても迫力のある展示は面白いと思います。さらに、機体にまつわるさまざまな知識をボランティアの皆さんに面白く教えてもらえるのは、空宙博ならではです。はやぶさ2など、航空・宇宙の最新の情報なども展示してあるので、ぜひ見に来てください!

航技研 低騒音STOL実験機 飛鳥とは…

「飛鳥」は科学技術庁 航空宇宙技術研究所(通称「航技研」National Aerospacce Laboratory of Japanを略してNAL。現在のJAXA)が開発研究し、戦後日本の短距離離着陸研究の集大成といえる実験機です。各務原を舞台に、多くの飛行実験を行いました。

「航技研 低騒音STOL実験機 飛鳥」の写真

【航技研 低騒音STOL実験機 飛鳥 機体データ】

  • 全長:29メートル
  • 全高:10.2メートル
  • 全幅:30.6メートル 
  • 重量:38700キログラム
  • 搭載エンジン:航技研 / 石川島播磨FJR710/600S×4基(二軸式高バイパス比ターボファン形式)
  • 最大速度:時速600キロメートル

日本での「VTOL機」・「STOL機」の研究

最初に着手したVTOL機の研究

1962年末頃から航空宇宙技術研究所では、VTOL(垂直離着陸)機とSTOL(Short Take-Off and Landing=短距離離着陸)機の研究開発を最重点課題として取り上げ、実験機研究開発を含む具体的な研究を開始しました。
まず、1963年からVTOL機の研究に着手しますが、当時は空港周辺の騒音が社会問題となっていたこともあり、飛行実験のみで、その研究開発は途絶えました。その折のVTOL-FTBは現在、空宙博にて常設展示されています。

その後STOL機へ

その後、1975年12月、航空技術審議会が「我が国に適したSTOL輸送システムの具体的推進方策について」の建議を科学技術庁に行います。科学技術庁では、「低騒音ファンジェット使用のSTOL旅客機」開発に必要な技術研究を目的にした実験機の研究開発を決定します。当時「低騒音ファンジェット使用のSTOL旅客機」は、民間機の主力となると考えられていました。この実験機の原型機には、国産機が使用されることとなり、主翼上に国産のファンジェット・エンジン「FJR」を搭載することを前提に、「C-1 輸送機」が選定されました。

飛鳥特有のエンジンの写真

C-1輸送機の模型

STOL機の研究が本格的にスタート

胴体に描かれた「STOL」の文字の写真

1977年、航空宇宙技術研究所に「STOL プロジェクト推進本部」が設置され、STOL実験機の基本設計が開始されます。1978年には、原型機であるC-1 輸送機の製造元の川崎重工業に、関係機体メーカー5社による横断的組織「STOL 実験機開発チーム(NASTADT)」が発足。1979年には川崎重工業を主契約企業に、三菱重工・富士重工・新明和工業・日本飛行機を協力企業として、機体の製造が始まりました。
ロールアウト(初公開)は1985年4月11日で、同年10月28日に初飛行に成功。1989年3月までの3年半の間に97回、計167時間10分の飛行実験が繰り返され、STOL 操縦法の確立、コンピューター・プログラムの改良、飛行性能向上のためのエンジンナセルへのフィン装備などが行われました。そして、通常の機体の3倍の降下角(最大10度)での着陸進入や、離陸距離509メートル、着陸距離439メートルという高いSTOL性能を実証しました。

「飛鳥」の名前の由来

「飛鳥」の文字のアップ写真

開発途上の1984年、開発中のSTOL実験機について国民に広く親しみを持ってもらおうと、日本全国の小・中学生に愛称の募集を行いました。4563通、3653種に達した応募の中から最終選考に残ったのは、「飛鳥」、「ショーター」、「羽衣」、「ランドセル」、「やまばと」、「ゆりかもめ」の6種。その中から採用されたのが、宮城県角田市立角田小学校6年生、中村比彦君の「飛鳥」でした。お気に入りの漫画の準主役の名を借りたとのことです。

「飛鳥」に搭載された新技術

「飛鳥」には、次のような、たくさんの新技術が盛り込まれました。

  • 純国産ファンジェット・エンジン FJR710/600S(国産初のターボファン・エンジン)
  • USB方式高揚力装置(エンジン排気をフラップに沿って下向きに曲げることにより通常の機体の2~3倍の揚力を発生できる)
  • 境界層制御技術(BLC)、我が国初のデジタルコンピューターによる飛行制御装置意(SCAS)の搭載
  • フライ・バイ・ワイヤ(FBW:電気式操縦システム)技術
  • 複合材利用技術
  • 低騒音化技術
  • エンジン抽気・制御技術
  • 低騒音STOL飛行技術の採用

そのルーツをたどると、当館展示機のX1G1(多重隙間フラップ、前縁スラット、BLCなどの技術)、UF-XSとFA-200改(BLC、前縁スラットなどの技術)、VTOL-FTB(機体姿勢制御技術)にもつながります。

飛鳥の模型写真

翼部分(折り曲げ)写真

先端部分の写真

実用化には至らなかったものの…

その後、「飛鳥」の研究成果を踏まえたSTOL旅客機量産化との期待もありましたが、地方空港にも長い滑走路が整備されるようになったこと、国策としてSTOL旅客機開発の必然性が薄れたこと、個別機体を開発する度に多額の費用がかかることなどにより、実用化は見送られました。
ただ、日本の国家プロジェクトとして「飛鳥」を作り飛行実験を行ったという事実は、改めて日本の技術力・航空機開発能力を世界に示すことにもなりました。開発や実験を通して得られた数々の貴重なデータと経験は、実用STOL機開発に必要なデータベースやパワードリフト機設計基準の確立のみならず、後の国産航空機開発にも大きく貢献しています。

「飛鳥」が博物館建設のきっかけに!

延べ97回の試験飛行を終えた「飛鳥」には日本各地から誘致の声が挙がりました。「飛鳥」が度々全国ニュースで取り上げられたことにより、知名度アップ効果もあった各務原市では、「飛鳥」を記念するメモリアル・ホールを作ろうとの構想が持ち上がります。これがスケールアップし、航空宇宙博物館建設へとつながりました。「飛鳥」こそ、各務原市での博物館建設のきっかけとなった機体なのです。1995年5月21日、建設中の「かかみがはら航空宇宙博物館」に搬入され、現在も空宙博の常設展示機として、その姿をとどめています。

「航技研 低騒音STOL実験機 飛鳥」はいかがでしたか?3月11日まで、企画展「飛燕と土井武夫展」を開催しています。さらに、リニューアルオープン1周年記念のイベントも盛りだくさんです。ここでは語り尽くせない機体の魅力と今しか見ることができない企画展を見に、ぜひ博物館へご来館ください!4月からは宇宙分野をご紹介します。
どうぞお楽しみに!

このページに関するお問い合わせ

岐阜かかみがはら航空宇宙博物館
〒504-0924 岐阜県各務原市下切町5丁目1番地
電話:058-386-8500 ファクス:058-386-9912