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令和元年8月 火星探査車「キュリオシティ」

ID番号 K30878更新日 令和元年8月1日

火星探査車「キュリオシティ」

「岐阜かかみがはら航空宇宙博物館(空宙博:そらはく)」がリニューアルオープンして、1周年を迎えました。
4月からは、宇宙エリアの展示を解説していきます。
解説するのは、博物館や航空機を愛してやまない方ばかり。機体への愛情あふれる皆さんが語る魅力や見るべきポイントをお楽しみください。

第16回目の解説者は、学芸課の加納舞さん

加納さんの写真

アメリカ航空宇宙局(NASA)は「2030年代に火星への人類到達の実現を目指す」と発表しています。その目標に向けて現在、世界各国では月や火星をはじめとする宇宙探査や、有人宇宙活動域の拡大のための新たな宇宙開発が進められています。空宙博では、7月13日(土曜日)~9月2日(月曜日)まで、そういった国際宇宙探査に焦点をあてた特別企画展が開催されています。そして、今回紹介する火星探査車「キュリオシティ」は、まさにその前身的な役割を担っています。
正式名称「マーズ・サイエンス・ラボラトリー」、愛称「キュリオシティ」、その名の示すとおり『好奇心』をもって、今後のキュリオシティの活躍を一緒に見守りましょう!
空宙博にはキュリオシティの実物大模型が展示してあります。今にも動き出しそうな臨場感あるキュリオシティをぜひ見に来てください!皆様のご来館をお待ちしております。

火星探査車「キュリオシティ」

火星探査車「キュリオシティ」の写真

「キュリオシティ」はアメリカ航空宇宙局(NASA)所属の火星無人探査車で、正式名称は「マーズ・サイエンス・ラボラトリー」といいます。2011年11月にキュリオシティを搭載したアトラスVロケットがケープカナベラル空軍基地から打ち上げられ、2012年8月に火星の赤道のすぐ南側に広がる直径154キロメートルの広大なゲール・クレーターに着陸しました。
キュリオシティは歴代の火星無人探査車の中でも最も大きく、軽自動車ほどもあります。電力源はプルトニウムの原子核崩壊熱を利用する原子力電池を使用、従来の太陽電池のような昼夜・季節の制約や砂塵の影響を受けることなく、一定の電力を得ることができます。

【火星探査車「キュリオシティ」機体データ】  

  • 長さ 3メートル(ロボットアームの長さ2.1メートルを除く)
  • 幅  2.8メートル
  • 高さ 2.1メートル
  • 重さ 899キログラム(そのうち観測装置は80キログラム)

NASA所属の「キュリオシティ」は、「ソジャーナ」、「スピリット」と「オポチュニティ」につづく、第3世代となる4機目の火星無人探査車で、先代の火星無人探査車「スピリット」と「オポチュニティ」の5倍の重量、10倍の重量の観測装置を搭載しています。

困難な着陸ミッション

困難な着陸ミッションの写真

大気の薄い火星に大きな重量の探査車を着陸させるのは難しいことでした。約900キログラムもあるキュリオシティを安全に着陸させるため、NASAは前例のない複雑な着陸方法を採用しました。
キュリオシティは、大気圏突入時の熱と圧力から保護するための「エアロシェル」に格納されて火星の大気に突入し、背面の小さなロケットエンジンを噴射させながら、進行方向を調整しました。高度11キロメートル付近にまで降りてくると「超音速パラシュート(直径16メートル、長さ50メートル)」を広げて、エアロシェルの下側の耐熱シールドを分離しました。続いて、高度1.6キロメートル付近でキュリオシティは、地表に軟着陸できる「スカイクレーン」とともにエアロシェルから分離され、スカイクレーンがロケットエンジンを地面に向けて噴射し、降下速度をゆるめながら火星の表面に接近しました。いよいよ高度20メートル付近まで近づくと、スカイクレーンはワイヤーを伸ばしてキュリオシティを降ろしはじめました。着陸するとキュリオシティはワイヤーから切り離され、役目を終えたスカイクレーンは再びロケットエンジンを噴射して上空に飛びあがり、離れた場所に落下しました。
キュリオシティの大気圏突入から降下・着陸までの7分間は、コンピューターが自動制御で行いました。火星から地球までの信号到着時間は14分間、キュリオシティの大気圏突入を地球で知るころには成功・失敗にかかわらず、火星の地表に降り立ち7分が経過していることになります。NASAはこの困難な着陸ミッションを『恐怖の7分間』と表現し、キュリオシティが無事に着陸したことが分かると、NASAの管制室は歓喜にわきました。

動く科学実験室

キュリオシティは生命の痕跡である有機物を詳細に分析するため、これまでの観測装置に加え、大きく分けて10種類もの観測装置が搭載されました。正式名称の文字どおり、『火星科学実験室』です。
中でも特徴的な観測装置の1つが、中央マスト(柱)部にある「化学分析カメラ(ChemCam)」です。最大7メートル離れた試料(土壌や岩)の表面に赤外線レーダーを照射し、高温になって蒸発した試料から発生する光の波長(スペクトル)を観測、試料の元素や鉱物組成を分析します。最も重要な役割を担うとされる装置は、胴体部に内蔵されている2つの実験室「火星サンプル分析装置(SAM)」と「科学・鉱物分析装置(CheMin)」です。SAMは有機物の元素をはかる3つの装置からなり、火星における大気環境の変化などの解明を目指します。CheMinは、X線回析を使って試料の鉱物組成を明らかにします。
また、キュリオシティには1.9メートル先まで伸ばせるロボットアームが搭載されています。注目すべきは、アームの先端部に採取した試料をSAMやCheMinの装置の投入口に輸送するための「ドリル」と「スコップ」が搭載されていることです。キュリオシティは約5センチメートルの深さの場所の試料採取ができ、火星上でドリルを使って掘り、はじめて地面下の試料を採取することができました。

「化学分析カメラ」の写真

搭載されている「ドリル」の写真

搭載されている「スコップ」の写真

キュリオシティの目的と成果

キュリオシティの目的は、生命の痕跡である有機物の探索や、火星環境の変化の歴史を調査することでした。キュリオシティが着陸したゲール・クレーターの中央には、高さ5000メートルを超える通称シャープ山(正式名称はアイオリス山)がそびえ立っています。キュリオシティは、この山のふもとに堆積する地層を目指しながら観測装置を駆使し、微生物に適した環境がかつてクレーター内に存在したのかどうかを探査しました。
初期の周辺調査では、水の流水痕を示す「礫岩」のほか、ナトリウムやカリウム、アルミニウムが多く含まれる「アルカリ玄武岩」を発見しました。アルカリ玄武岩は水を多く含んだ溶岩からできる岩石で、火山岩の一種でもあることから、クレーター内には水の存在とともに火山活動があったことも推測されました。
生命の痕跡を示す物質や空気の存在もキュリオシティの分析により明らかとなりました。キュリオシティは「イエローナイフベイ」と呼ばれる地域で、はじめてドリルで穴をあけて岩石を採集・調査、SAMやCheMinといった観測装置で分析した結果、微量の炭素・窒素・酸素・亜リン酸・硫黄が含まれていました。これらはすべて地球上の生命にとって不可欠な元素です。さらに岩石には、水を20パーセント含んだ粘土鉱物や硫酸塩鉱物も含まれていました。この岩石の成分から堆積時に存在した水は中性に近く、塩分もそれほど多くなかったと考えられ、太古の火星は生命が存在するのに適した環境であったことが明らかになりました。
また今年の6月、キュリオシティは探査以来、火星で過去最高濃度のメタンを大気中で検出しました。地球では微生物がメタンの重要な発生源になっていることから、この発見は火星での生命の存在を示すものと期待されています。また、メタンは岩石と水の相互作用によっても発生します。キュリオシティにはメタンの源を特定できるような観測装置が搭載されていないため、検出されたメタンが生物由来なのか地質由来なのか未解明です。これまでのメタン検出量が一定でないこと、火星の季節によって変動することなどから未解明な部分が多いですが、今後のキュリオシティの観測に一層の期待が寄せられます。

赤外線レーダーを照射している写真

ドリルによってあいた火星の穴の写真

礫岩の写真

キュリオシティの現在と今後の火星探査

2012年以来、火星探査をしてきたキュリオシティは車輪の摩耗が激しい中、壊れたドリルを復活させたり、容量を制限するメモリー異常を克服したりと苦しいながらも、当初の約2年間の活動予定を大幅に超えて、現在も調査を続けています。
キュリオシティのミッションは、近い未来行われるであろう火星の生命そのものを探索する将来的なミッションにそなえた中間段階にきています。2020年、NASAは新たな火星無人探査車を開発・着陸させる予定で、より直接的な生命の証拠を探すミッションが期待されます。キュリオシティの後継機が生命らしきものを発見した場合、2030年代には有人探査によるサンプルリターンを実現し、火星生命の詳細が明らかになるかもしれません。今後の火星探査にも目が離せません!

タイヤの写真

火星探査車「キュリオシティ」の写真

このページに関するお問い合わせ

岐阜かかみがはら航空宇宙博物館
〒504-0924 岐阜県各務原市下切町5丁目1番地
電話:058-386-8500 ファクス:058-386-9912