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令和2年2月 技術試験衛星7型「きく7号」(ETS-VII)

ID番号 K33106更新日 令和2年2月1日

技術試験衛星7型「きく7号」(ETS-VII)

「岐阜かかみがはら航空宇宙博物館(空宙博:そらはく)」がリニューアルオープンして、1周年を迎えました。
4月からは、宇宙エリアの展示を解説していきます。
解説するのは、博物館や航空機を愛してやまない方ばかり。機体への愛情あふれる皆さんが語る魅力や見るべきポイントをお楽しみください。

第22回目の解説者は、学芸課の浅井博次さん

浅井さんの写真

「きく」は宇宙開発事業団(NASDA)が打ち上げた技術試験衛星(ETS=Engineering Test Satellite)という衛星シリーズの愛称です。「きく」は技術試験衛星という名が示すように、衛星の製造・運用に必要とされる技術の習得を目的としていました。
7号機である「きく7号」は、宇宙空間での自動ランデブ(接近&並走)・ドッキング技術の習得を目的とし、1997年11月28日、種子島宇宙センターから打ち上げられました。
チェイサ衛星「ひこぼし」とターゲット衛星「おりひめ」という2機の衛星で構成されており、「ひこぼし」が「おりひめ」を追いかける形で分離・接近・ドッキングの実験が行われました。「ひこぼし」は3組の爪状のドッキング機構で「おりひめ」をつかまえます。

  • ひこぼし:2.6メートル×2.3メートル×2.0メートル、2540キログラム
  • おりひめ:0.7メートル×1.7メートル×1.5メートル、410キログラム

ETS-7 想像図の写真
ETS-7 想像図

「おりひめ」と「ひこぼし」の写真
左が「おりひめ」右が「ひこぼし」

「おりひめ」をつかまえている写真
「ひこぼし」のドッキング機構

ランデブ・ドッキング

ランデブ・ドッキングの写真

宇宙空間で衛星は軌道上を高速で飛行しています。その衛星に接近しドッキングするためには、衛星の位置を常に正確に把握し続けることが不可欠です。
「おりひめ」と「ひこぼし」のランデブ・ドッキングでは、以下のように両衛星間の距離によって手法を切り替えて位置計測を行っていました。

  • 10キロメートル~500メートルの時:GPSを使用(GPS相対航法)
  • 500メートル~2メートルの時:ランデブ・レーダーを使用(レーザー光線の反射を利用)
  • 2メートル~0.3メートルの時:画像センサ(近傍センサ)を使用

当時使用可能なGPS情報の精度は100メートル程度でしたが、「おりひめ」と「ひこぼし」の両方にGPS受信機を搭載、同じ測位衛星からの電波を受信して同時に測位を行い、その差をとることにより、位置・速度計測の高精度化を図りました。

世界初!無人自動操作によるランデブ・ドッキング

「おりひめ」を捕獲した瞬間の写真
「おりひめ」を捕獲した瞬間

1998年7月7日七夕、第1回ランデブ・ドッキング実験が行われました。「ひこぼし」は分離後「おりひめ」から2メートル離れ、その距離のまま並走飛行を継続、約15分後、ゆっくりと「おりひめ」に近づき、ドッキング機構で「おりひめ」を捕獲・結合し、ドッキングに成功しました。この実験の成功により、自動ランデブ・ドッキング技術の中で最も難易度の高い自動ドッキング技術を実証することができました。
2度目の実験が行われた1か月後の8月7日、想定外のことが発生しました。この実験では、画像センサに加え、ランデブ・レーダーを用いて5250メートル離れた距離からのランデブ・ドッキング実験が予定されていたのですが、「ひこぼし」の姿勢制御装置(スラスター)に問題が発生し、衝突回避モードに入ってしまったのです。
その結果、「ひこぼし」は「おりひめ」から12キロメートルも離れてしまいました。
当初、少しずつ距離を広げて実験を繰り返す予定であったのが、2メートルからいきなり12キロメートルになってしまったのです。3週間かけてどうにかソフトウェアを修正、8月27日、無事ドッキングに成功することができました。
この不具合対応により、当初予定していた以上の実験データを得ることができました。この結果を受け、10月26日から27日にかけて実施した3度目の実験では、9キロメートル離れてから、「おりひめ」に対して「ひこぼし」が地球側から接近する方法でランデブ・ドッキングを実施しました。これは、当時開発中であった国際宇宙ステーション(ISS)への物資補給船こうのとりで採用予定のランデブ・ドッキング方法の実証試験としておこなったものです。この実験の成果は、その後、こうのとりの無人ランデブ技術に活用されています。
また、遠距離からのランデブ・ドッキングとなった2回目、3回目の実験では、GPS相対航法を使用しました。GPS相対航法を利用したランデブはもちろんのこと、GPSを衛星の自動軌道制御に利用することは世界初のことでした。

当時、世界的にも未だ確立されていなかった無人自動ランデブ・ドッキング実験や遠隔による各種ロボット操縦技術の実験を実施した「きく7号」。その成果は、世界に誇れる大きなものでした。
「きく7号」は1999年11月にすべての実験を、2002年10月30日に運用を終了し、2015年11月13日に大気圏に突入して消滅しました。
岐阜かかみがはら航空宇宙博物館の宇宙エリアには、「ひこぼし」が「おりひめ」を固定するドッキング装置や各種センサーなど、「きく7号」に使用されたパーツを展示してあります。展示を見ながら、織姫と彦星の七夕伝説と同じように、ハプニングによる離別から無事再会を果たした「きく7号」、今まさに地球との再会を目指し遠路リュウグウからの帰還の最中にあるはやぶさ2に思いをはせてみませんか。

ドッキング装置の写真

センサーの写真

センサーの写真

このページに関するお問い合わせ

岐阜かかみがはら航空宇宙博物館
〒504-0924 岐阜県各務原市下切町5丁目1番地
電話:058-386-8500 ファクス:058-386-9912