所信表明
提案理由説明(令和7年第1回各務原市議会定例会・3月6日)
令和7年第1回各務原市議会定例会にあたり、市政運営に対する基本的な考え方について述べるとともに、提案いたしました令和7年度予算案をはじめとする各議案の概要についてご説明申し上げます。
令和5年5月8日に新型コロナウイルス感染症が5類感染症に移行してから、本市においても少しずつ各地域でお祭りや市民運動会などの行事が再開され、多くの人で賑わい、まちに活気が戻ってきたことを改めて実感しております。市民の皆様が力を合わせて地域の伝統を引き継がれ、いきいきと活動していただけることは、まちの活力そのものです。新型コロナウイルスの感染拡大によって中止や縮小を余儀なくされていた行事などを再開するに当たっては、地域をけん引する力と、関係者の皆様の協力が必要不可欠であったと思います。地域の発展のためにご尽力いただいている皆様に改めて感謝を申し上げます。
さて、昨年秋には岐阜県内で、国内最大の文化の祭典である「清流の国ぎふ」文化祭2024が開催され、開会式にご出席された天皇皇后両陛下が、その翌日に岐阜かかみがはら航空宇宙博物館をご来訪されました。両陛下には、新しく完成した企画棟「スペースボックス」で開催している特別企画展「月への挑戦」や、本館の国際宇宙ステーション日本実験棟「きぼう」の実物大模型などをご覧いただきました。このたびの行幸啓は、本市にとって大変光栄なことであり、あの時の光景は今でも鮮明に私の脳裏に刻まれております。また、本市では「新作オペラ」の上演をはじめ、「吹奏楽の祭典」や「きものの祭典」などを実施しました。市内外より来られた多くの皆様と文化芸術の交流が図られ、大いに盛り上がりを見せました。
その一方で、昨年の元日には「令和6年能登半島地震」が発生し、石川県を中心に北陸地方に甚大な被害をもたらしました。本市では、これまでに緊急消防援助隊をはじめ、応急給水業務や避難所運営業務、被災建築物危険度判定業務、罹災証明発行業務、公費解体業務などへ従事するため、延べ130人を超える応援職員を現地に派遣し、被災地支援を行ってまいりました。現在も石川県羽咋市に職員を派遣し、復旧・復興支援業務に従事しております。今年の1月16日には私自身も羽咋市を訪問し、現地の状況を視察するとともに羽咋市長をはじめ、現地の職員の皆さんとの意見交換を行い、現在、求められている復興支援業務などについて確認をしてまいりました。被災地の早期の復興に向けて、引き続き、積極的な支援活動を行ってまいります。
また、能登半島地震のほかにも、近年、全国各地で自然災害が頻発し、甚大な被害が発生しています。昨年8月には、「南海トラフ地震臨時情報(巨大地震注意)」が初めて発表されましたが、こうした自然災害への対策のため、安全・安心なまちづくりを推進していくことが急務となっています。このような状況を受け、本市においては、木造住宅の耐震補強工事や危険なブロック塀の撤去工事について時限的に補助を拡充するとともに、避難所における備蓄品の充実を図るなどの緊急対策を実施いたしました。
このほか、昨年10月には「各務原市にはすべてのコンビニにAEDがある」をキャッチフレーズに市内に57店舗あるすべてのコンビニエンスストアにAEDを設置し、運用を開始いたしました。緊急時にいつでも、だれでもAEDを使用することができ、救命率の向上につながることが期待されます。今後も巨大地震や風水害といった自然災害、万が一の事故などへの対策を重点的に行い、市民の皆様が安心して暮らせるまちづくりを進めてまいります。
PFASへの取組につきましては、昨年6月に水質改善対策の立案に向け、専門家から幅広く意見を聴取するために「各務原市水質改善対策委員会」を設置いたしました。第1回の委員会では、松井佳彦・北海道大学名誉教授が委員長に選出され、それ以降、水質改善対策基本方針や、中・長期的な対策についてのご審議をいただき、昨年12月には中期対策の施設整備案等について、答申をいただいたところです。中期対策の答申におけるPFAS専用処理施設については、日本国内において事例がないため、先月、私自身も松井委員長とアメリカ合衆国カリフォルニア州へ世界最先端のPFAS浄水処理施設の視察をしてまいりました。現地ではロサンゼルス近郊とサンフランシスコ近郊の2箇所で、それぞれ異なるイオン交換樹脂を用いた浄水処理施設を視察し、実際に稼働している浄水処理施設における運用状況や課題などを聞き取ってまいりました。今後の三井水源地における新たな浄水処理施設の整備に向けて、世界最先端の水質改善対策を学ぶことができました。現在は詳細設計業務に着手しており、令和7年度から令和8年度にかけて工事を行う予定です。あわせて、長期的な水質改善対策についても慎重に検討を進めていきながら、引き続き、市民の皆様に安全・安心な水道水を提供していくための取組を全力で推進してまいります。
さて、本市では、安全・安心なまちづくりとともに、市民の皆様にいつまでも元気に住み続けたいと思っていただけるまちづくりを推進しています。その一例として、加齢に伴い心身の活力が低下している状態である「フレイル」を予防するための取組が挙げられます。昨年は新たな事業として民間企業とのコラボレーションにより、健康的な食事や運動の知識をわかりやすく伝え、習慣化するための「シニアのボディメイクプログラム」を実施しました。さらに今年は、eスポーツを活用したフレイル予防事業にも取り組んでまいります。
また、昨今は、ひきこもりや孤立、8050問題などの複雑化・複合化した課題への対応が急務となっています。市民の皆様が住み慣れた地域で暮らし続けることができるよう、令和7年度からは、さまざまな支援ニーズに対応する包括的な支援、子ども・子育て施策や健康増進施策を推進する組織体制を強化することとしています。来月からは、こども医療費助成制度の対象を現在の15歳から18歳までに拡大します。
昨年末に発表された民間企業によるリサーチ「全国住み続けたい街ランキング2024」において、本市が全国1,741自治体中11位にランクインするという大変喜ばしいニュースが届きました。このような結果はまちづくりをする上での励みとなりますが、これに甘んじることなく、今後も、あらゆる世代の皆様が住み続けたいと思っていただけるまちづくりを推進してまいります。
私が市政運営をしていく中で、常に大切にしていることは市民の皆様との「つながり・対話・協働」です。地域の「つながり」を今後も維持していくためには、地域の基盤となる自治会の存続が何より重要です。少子高齢化が進む中で、持続可能な自治会運営を行っていくため、自治会活動のDX化として、電子回覧板や災害時の安否確認などの機能をもったアプリを一部の自治会に試験的に導入いたしました。今後は、その効果を検証して、自治会役員の負担軽減など、課題の解決につなげてまいります。
また、昨年10月に川島・稲羽西地区において「チョイソコかわしま」の運行が始まりました。この「チョイソコかわしま」は、お隣の岐阜市や笠松町への乗り継ぎもできます。鉄道駅から遠い地域の移動手段が確保され、市域を超えた交通の利便性が向上いたしました。今後も市民の皆様が安心して快適に暮らすことができるよう、地域公共交通の充実に向けた施策を進めてまいります。
さらに、昨年から、まちなかウォーカブル推進事業「那加 from Park 構想」として、官民連携による空き店舗への新規開業支援や旧東亜町会館の利活用など、新たな賑わいや交流の創出に取り組んでいます。
昨年12月には、前渡西町の木曽川沿いに木曽川前渡南公園がオープンいたしました。愛称は「Kakamigahara わたしのPARK」です。日帰りバーベキューのできるデイグランピング施設や全国で初めての無料のアスファルト舗装型BMXコース、稲羽東小学校の児童の提案で設置したすべり台「リボンスライダー」や展望台などがあり、他の公園にはない魅力ある施設となっております。この公園で地域を越えた新たな人々の交流が生まれることを期待しています。持続可能な未来をつくっていくために、これまで以上に「つながり・対話・協働」を推進力として、市民の皆様にとって暮らしやすいまちづくりを進めてまいります。
このほか、現在、本市では将来を見据えた大規模事業として、「かかみがはら支援学校」と「新総合体育館・総合運動防災公園」の整備事業を進めています。誰もが住み慣れた地域で安心して学べる環境を確保し、未来の宝である子どもたちが各務原市で心豊かにたくましく成長していけるよう、現在、来月の「かかみがはら支援学校」の開校に向けた最終準備を進めています。
また、スポーツ機会の創出のみならず、新たな賑わいや防災の拠点となる「新総合体育館・総合運動防災公園」について、今後、PFI手法により設計業務、建設工事、運営業務等を行う事業者を決定し、事業を着実に前進させてまいります。加えて、将来の子どもたちに適切な教育環境を確保できるよう、市内小中学校の適正規模適正配置に関する議論を進めるとともに、学校体育館のエアコン整備や老朽化した学校施設等の更新を実施してまいります。
令和7年度からは、本市のまちづくりの羅針盤である新たな「各務原市総合計画」がスタートします。10年先の未来を見据え、将来都市像「もっと みんながつながる 笑顔があふれる 元気なまち ~しあわせ実感かかみがはら~」の実現に向けて、9つの基本目標に、35の施策、112の取組方針を掲げています。
特に人口減少と少子超高齢化の進展は最重要課題であり、新しい総合計画では「人口減少・少子化対策」を最重点プロジェクトに位置づけています。分野を横断した複合的な視点で、「人口減少の抑制」と「人口減少への適応」の両面から総合的な対策を進めてまいります。
私は、今年の年頭挨拶において、この1年を表す漢字として市民の皆様、そして各務原市がさらに「飛躍」・「躍進」・「活躍」する年となるよう思いを込めて「躍(やく)」という一字を掲げました。新たな総合計画を指針として、市民の皆様をはじめ、自治会、各種団体、NPO、企業の方々にさらにご活躍いただく環境を整え、「オール各務原」で、しあわせを実感できるまちづくりを全力で進めてまいります。これからも、市民の皆様、議員各位とともにゆるぎない情熱を持って、市政運営に邁進していくことをお約束して私の所信表明といたします。
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