所信表明

ページ番号1006110  更新日 令和3年4月7日

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提案理由説明(令和3年第2回各務原市議会定例会・3月8日)

議場で所信表明を行う浅野健司市長の写真

変化した日常
令和元年11月下旬、中国武漢市で「原因不明のウイルス性肺炎」が初めて確認され、それ以降、ウイルスは瞬く間に世界中に広がりました。そして、我が国にも感染は拡大し、昨年は猛威を振るい続ける新型コロナウイルス感染症対策に奔走した一年でありました。現在も終息に向け、感染拡大を阻止する過程の最中にあり、これまで「あたり前であった日常生活」が大きく変化した年であったと認識しているところであります。各種イベントや大会の中止。そして、学校の臨時休業や公共施設の一部休館。二度にわたる国の緊急事態宣言の発令など、刻一刻と変わる状況に戸惑い、そして大きな不安に襲われたことと思います。
議員各位をはじめ、市民の皆様におかれましては、お一人おひとりが「新しい生活様式」を徹底し、責任ある行動を今もなお辛抱強く続けていただいておりますことに対し、心より感謝申し上げます。
また、社会生活を維持するため、昼夜を問わず医療や介護現場の最前線において、懸命に職務にあたっていただいている方々への感謝も忘れてはなりません。特に感染者数が増え、大変過酷な状況の時でも、医療崩壊、あるいは介護崩壊という事態に至らぬよう、日々、奮闘されている皆様のご努力に対し、心より感謝と敬意を表します。本当にありがとうございます。

市独自の支援策
さて、昨年の市政に目を向けますと、やはりコロナ対応に終始した一年であったと言えます。市政運営を預かる者として、市民の皆様の生命と健康を守るため、最優先すべき業務の選定と、中止や延期をする事業の抽出を即座に行い、その時々に真に必要とされる業務に対して全力を注ぐ体制に切り替えました。「感染拡大防止」と「社会・経済活動」の両立。これはかつて経験したことのない課題であり、慎重な判断が求められる一方で、「待ったなし」の状況下において、迅速かつ大胆な決断を下すのも私の使命でありました。
このような中、国や県の支援策を、関係する方々に的確にお知らせし、確実に実行するよう、職員に指示を出しました。その上で、国や県の支援の「隙間」になる部分については、スピード感を持って、市独自の支援策を創設するなど、この難局を「オール各務原」で乗り越えるべく、柔軟かつ迅速に対応してまいりました。
新年度予算案をご議論いただく今議会の開会にあたり、これまでの施策を振り返るとともに、新年度における施策の方向性について申し上げます。一つ目は「各務原市プレミアム付商品券」。通称「らららチケット」であります。この事業は、昨年末の市政10大ニュースでもトップに掲げた事業です。新型コロナウイルス感染症により、市内経済にも影響が出ていることを受け、各務原市の総力、「オール各務原」で市内事業者の皆様を応援するため、10,000円分の商品券を5,000円で購入できるという、プレミアム率100%の商品券「らららチケット」を発行したものであります。販売開始前から期待を寄せる声を多くいただき、販売も順調に推移しました。最終的には実に13万4千人分に相当する販売実績をあげることができました。購入率は約91.4%となっており、まさに「オール各務原」で市内経済の活性化を力強く後押しできたものと確信しております。現在も第3波の影響を受け、日常生活の一部に制約が残っておりますが、アフターコロナ、ポストコロナのタイミングを冷静に見極め、国や県の施策を確認しつつ、新たな経済活性化の施策を検討してまいります。
そして、「インフルエンザの重症化」と「新型コロナウイルスの同時流行」を防ぐため、中学3年生までのお子さんと妊婦の方への費用助成を行った「インフルエンザ予防接種費用助成」。昨年来の新型コロナウイルス感染症の拡大を受け、インフルエンザワクチンについても接種希望者が大幅に増加することが予想されました。特に13歳未満のお子さんは2回接種する必要があり、費用面での負担も大きくなるため、少しでも接種しやすい環境を用意したところであります。こちらにつきましては、多くの方々にご利用いただき、季節性のインフルエンザの大流行といった事態には発展せず、一安心しているところでありますが、今季以降の支援のあり方についても、慎重に判断していく必要があると考えております。
また、長期間にわたる学校の臨時休業、そして保育所や幼稚園の登園自粛要請も大きな出来事でありました。これまで経験したことのない休業等の措置に対し、特に保護者の皆様には大変なご苦労があったかと思います。例えば学習面への不安。そして、各種行事の中止に伴う戸惑いや育児面における新たな負担の発生など、相当な困惑が生じたことであったと思います。そのような先の見通しのつかない不安な状況に対し、少しでも明るい光を届けようと、市から図書カードの配布を行いました。外出が制限されている未就学児のお子さんに対しては、絵本を通じて親子のふれあいを深めていただくため、「絵本で応援」ステイホーム支援事業と銘打ち、おすすめの絵本リストと一緒に配布しました。児童、生徒の皆さんには「今こそ読書」ステイホーム支援事業として、課題図書や学校の先生の推薦する本、図鑑や参考書などを購入してもらい、家庭での生活が豊かで充実したものになるよう、子どもたちを応援してきました。これらは、未来を担う子どもたち一人一人に、心豊かでたくましく成長してほしいという願いを込めた事業であり、今後もその時々に必要かつ効果的な施策を検討してまいります。
その他にも不要不急の外出を控え、家庭での生活時間が長期化する傾向に配慮し、家庭での手洗い徹底を促すとともに、お子さんとの料理やお菓子作り、趣味の家庭菜園など、ご自宅で有意義な時間を過ごしていただくことを推奨する点から「お家で手を洗おう!Wash!Wash!Wash!」キャンペーン事業として上水道の基本料金を4カ月間免除しました。コロナ禍における生活支援についても、その必要性を含め、適時適切な支援策の検討を継続してまいります。
また、事業者向けの支援策も国や県の施策のほか、市独自の施策を数多く実施してきました。一例として、創業直後の最も不安定な環境下での事業継続を支援する「創業者向け持続化給付金」の給付事業を挙げたいと思います。この事業は、国の支援策の隙間にあたる方々を市独自の施策で対応したものであります。令和2年に事業を開始した「創業間もない方」で、新型コロナウイルス感染症の影響により売上が一定程度以上減少した方に対し、事業活動の維持、持続のために給付金を支給しました。市民の皆様、事業者の皆様に一番身近な存在である市が、直接、意見を伺い、対話を通して実現させた事業であり、多くの事業者の皆様にご活用いただいたところであります。今後も、多くのご意見にしっかりと耳を傾け、市民の皆様に寄り添い、一つでも多くの幸せを実感して頂けるよう、知恵を出していきます。
そして、決して忘れてならないのは「暖かい心のこもった多くのご寄附」であります。「新型コロナウイルス感染症の拡大防止のために」と、本当に多くの方々からマスクや消毒液をはじめとする衛生用品、感染拡大防止のための資材などのご寄附を頂きました。特に私の心に残っているのは、学校の臨時休業中に、自宅で新型コロナウイルスのニュースを目にする機会が増えたことで、「自分たちにできることはないか」と中学生、小学生の兄弟が「手作りマスク」の寄附をしてくれたことです。材料費はお小遣いから出し、1日でも早く安心して暮らせる日が来ることを願いながら、裁断や縫製も含め、すべてが「手作り」。頂いたマスクは市内の高齢者施設などで活用させてもらいました。これは、すべての世代が一丸となってコロナウイルスに立ち向かうという、まさに「オール各務原」の頼もしい「底力」を感じた出来事でありました。あらためて、多くのご寄附を頂きました企業の皆様、そして市民の皆様に心より感謝を申し上げます。ありがとうございます。
また、政府が新型コロナウイルスの感染症対策の「決め手」と位置づけているワクチンの接種。円滑な接種に向け、その体制整備を急ピッチで進めています。すべての国民にワクチンを提供するという国家プロジェクトであります。市も医師会や東海中央病院の先生方をはじめ、看護師や福祉、介護施設関係者の皆様など、この事業に関わる方々としっかりと協力体制を築き、すべての市民の皆様に、安全で有効なワクチンを確実にお届けできるよう、市を挙げて万全の体制で臨んでまいります。いまだ新型コロナウイルス感染症の終息の見通しは立っていませんが、目下の厳しい状況を踏まえ、新年度も正しい情報を冷静に見極め、コロナ対策の強化を図るとともに、「新型コロナウイルスと共にある」という新しい時代に求められる施策を着実に、そしてスピード感をもって実施してまいります。

新たな「つながりづくり」
そして、コロナ禍における市政運営において、新たな動きも出てきています。言うなれば「攻め」の市政運営であります。令和2年度にスタートした、市の総合計画後期基本計画では、人と人や団体同士などの「つながりづくり」に力を入れる方針を掲げました。その矢先、新型コロナウイルスの影響で、人との交流や地域の行事、団体の活動は制限されることとなりました。私たちが大切に育んできた「つながり」が、突然、断ち切られる場面もありましたが、目指す将来都市像「笑顔があふれる元気なまち」の実現に向けた歩みは決して止めてはなりません。コロナ禍の中で何ができるのか、どのようにすれば目下の厳しい状況を打破できるか。この答えを模索する中で、人と人との「つながりづくり」の大切さを改めて認識するなど、多くの「気づき」もありました。
そして、さまざまな制限がある中でも、知恵を絞り、新しい形態による「つながりづくり」に挑んだところであります。例えば、市内企業と就職を控えた学生をオンラインでつないだ合同企業説明会の開催や、オンライン会社説明動画の作成であります。対面型の採用面接が出来なくなるなど、就職活動にも制限が出た中で、積極的に採用活動を進める意欲的な市内企業と就職活動が出来ない学生等とのマッチングを支援しました。
また、ウェブ会議システムを活用した「まちづくりミーティング」にトライするなど、新しい方法を導入して出来得る限り「つながりづくり」に資する事業を展開してまいりました。その他、新たな手法を導入した事例として、新型コロナウイルス感染症の拡大や災害の発生などで図書館が休館した場合でも、図書館サービスを利用することができるよう「電子図書館サービス」を導入したところであります。インターネットを経由し、デジタル化された書籍を、いつでもどこでも読むことができます。密集、密接を避けることもでき、自宅で安全安心に図書館サービスを利用することもできるようになりました。この先も、多くの知恵を出し合い、果敢なる挑戦を続け、一歩一歩、力強く歩みを進めてまいります。

安全・安心なまち
これらの他、コロナ禍においても、喫緊の課題に対しては着実に成果を出してきました。だれもが住み慣れた地域で、いつまでも健康に、そして安心して暮らしていけるよう、公共交通の充実を図り、生活しやすい環境を整えるため、乗合送迎サービス「チョイソコかかみがはら」の実証実験を昨年の10月1日にスタートしました。今後、この事業にご協力をいただいているスポンサー事業所と連携し、利用者向けのお知らせや、イベントなどを通して、高齢者の方の外出促進や健康増進などに取り組むとともに、日頃から利用者の皆さんの声に耳を傾け、停留所の拡充や、運行エリアの拡大など、より多くの市民の方が使いやすいよう、更なる公共交通サービスの充実を目指してまいります。
また、これまでの介護予防の取り組みに加え、身体機能や認知機能の状態をチェックし、早期に対策を講じる「フレイル予防事業」にも、より一層、力を入れていきます。フレイル予防の重要性を広く周知するとともに、認知症予防などに関する啓発にも力を入れ、楽しく、手軽に、そして継続的に事業に参加できる環境を整え、健康寿命の延伸を図ってまいります。これらの事業は一例でありますが、新年度以降も地域の皆様や関係諸団体の方々と手を携え、一緒になって、笑顔があふれ「ずっと住み続けたい」と思えるまちへ育ててまいります。
そして、安全・安心なまちへ向けた取り組みも着実に前進しております。頻発、そして激甚化する自然災害に迅速かつ的確に対応するため、防災体制の強化を図ることはゴールのない課題です。昨年は、防災備蓄倉庫の建設に着手しました。南海トラフ巨大地震が発生した際、市内では最大で1万5,000人程度の避難者が出ると想定しています。この想定に基づき、必要な物資を備蓄することは長年の課題でありましたが、これらの不安を軽減させる防災備蓄倉庫が間もなく完成します。さらに、突如として発生した新たな課題。避難所における新型コロナウイルスの感染防止対策であります。従来の避難所運営を検証し、人との距離を確保した運営方法のあり方を検討し、必要な資機材を充実させるなど、万全の体制確保に向けて準備を進めています。
これらに加え、新たな総合体育館の整備事業もスタートしました。この体育館の整備にあたり、スポーツやレクリエーションでの利用に対して、誰もが快適に使用できる施設を目指すことは当然でありますが、基本方針の一つに「安全安心の拠点」にするという考えを掲げます。体育館に防災拠点としての機能を持たせ、市民の皆様の安全安心の「よりどころ」となる拠点として整備してまいります。私は常日頃から職員に対し、災害は「来るかもしれない」ではなく「必ず来る」との認識を持つこと。そして、「防災意識の向上と、地域における防災体制の充実をしっかりと支援すること」を、一貫して指示しております。その上で、「自助、共助、公助」のそれぞれがしっかりと役割を果たし、それらが有機的に機能すれば、必ずや「災害に強いまち」に成長していきます。ゴールのない課題ではありますが、地道に取り組みを続けることが大切であり、この先もその考えに変わりはありません。
そして、災害対策の拠点となる新庁舎の建設工事も着実に進んでいます。今年9月には高層棟が完成し、令和5年3月には全面完成の予定です。工事期間中はいろいろとご不便やご迷惑をお掛けしますが、今しばらくの間、ご理解とご協力をお願いいたします。

未来を担う子どもたち
さらに、もう一点、長年の課題に対して、新たな道筋をつけた事業があります。小中高一貫の特別支援学校整備事業の着手であります。現在は、基本構想・基本計画の策定に全力を注いでいるところであり、令和7年度の開校に向け、引き続き、保護者や地域の皆様、学識経験を有する方や関係団体の方々と丁寧な議論を重ね、「愛される学校」の設置に向け、その歩みを加速させていきます。
その他、子ども達の学習環境の充実にも取り組んでまいります。小中学校のICT環境整備を進め、学習内容の一層の定着や情報活用能力の育成を図っていきます。未来を担う子どもたちには、多くの事に関心を持ってもらい、いろいろな学習や体験を通して、たくましく成長していって欲しいと常に願っています。
さらには、子育てについても全力でサポートしてまいります。すべての子どもを大切に守り育てるため、現在の子育て支援課を、幼保支援を行う「子育て応援課」と、家庭支援を行う「子ども家庭支援課」に分割、再編をし、子育て施策に関する諸課題に対して迅速に対応できる体制を整備いたします。特に、「子ども家庭支援課」は、「子ども家庭総合支援拠点」と「母子健康包括支援センター」クローバーの機能を併せ持つ課として、妊娠期から子育て期にわたる総合的な相談や支援を実施するとともに、DV、児童虐待、子どもの貧困対策等に係る専門的で継続的な支援を行ってまいります。

オール各務原の底力
さて、私は本年の年頭挨拶において「力」という一字を掲げました。今の日本、そして各務原。私たちの目の前には、大きなものから小さなものまで、本当に多くの課題があります。例えば少子高齢化。すでに団塊の世代が75歳以上となる「2025年問題」の最中にあり、その先の「2040年問題」も迫ってきています。そして、猛威をふるう新型コロナウイルスも然りであります。これまで、あたり前であった日常が大きく変化し、企業活動や経済活動にも大きな影響を与え、先の見通しも暗く不安になりがちです。そんな時こそ、大きな夢や希望をもち、「ゆるぎない情熱」を持って「力強く」歩みを進めていきたい。そして、この各務原を笑顔があふれ、すべての方が「ずっと住み続けたい」と思えるまちへ育てていくことが私の夢であり使命であります。この夢の実現のために、市民の皆様、自治会、各種団体、NPO、企業、行政のそれぞれが持てる力を発揮し、「オール各務原の底力」を示すのが今であります。そのような強い想いを込めた一字、「力」であります。この字に込めた想いを現実のものにするため、各々がしっかりと役割を担い、このコロナ禍の中にあっても、一つでも多くの幸せを感じとっていただけるよう、議員各位並びに市民の皆様と共に全力で市政運営に邁進してまいることをお約束いたします。

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