平成の大修理
村国座は、築140年の長い年月を経過し、全体的に捩れて傾き、建物の表面だけでなく柱や土台など骨組みにまで傷みが及んでいました。そのため貴重な文化財である村国座を維持していくためには、大掛かりな修理が必要な状況となっていました。加えて、耐震診断を行ったところ、震度5強の地震で建物が倒壊する恐れがでてきたため、緊急に耐震補強を施す必要があることがわかりました。
事業費工事費
191,100千円
内訳
- 国庫補助金 95,550千円
- 県補助金 8,833千円
- 市費 86,717千円
工期
平成18年10月~平成21年1月(3カ年)
工程
平成18年度
- 屋根・下屋・壁・床組・礎石などの解体
- 瓦の選別
平成19年度
- 部材修繕
- 耐震補強
- 礎石据直し
- 瓦制作
- 瓦葺き
- 下屋軸部組立
平成20年度
- 部材組立
- 壁塗り
- 床板・建具取付
- 回り舞台
- 附帯設備
- 外構工事
半解体修理について
村国座平成の大修理では、文化財の修理で一般的な半解体修理という方法で工事が進められました。半解体修理というのは、村国座を支える10本の主柱とそれに架かる梁組みを解体することなく、屋根や壁、床、石積み壁など建物の大部分を解体して修理を行う工事で、村国座のような伝統工法で建てられた木造建築は、一旦解体して、一つひとつの部材の傷みを繕い、緩んだ木組みを締めなおしつつ再び組立てれば、建物の歪みや強度がほぼ元の状態に戻ります。また、部材の修繕にあたっては、可能な限りオリジナルを維持できるよう「埋木・継木・剥木」といった保存修理の技法を使って、部材の損傷状況を見極めながら傷んだ個所のみ繕い、再び同じ場所へ、同じ工法で組み直しました。
構造補強について
耐震補強工事は、震度5程度の耐震性能を確保しつつ、文化財である村国座の損傷をできる限り小さくし、なおかつ補強材をできる限り目立たせないよう取り付けるために、鉄骨鉄筋コンクリートの地中梁を村国座の地中深くに巡らせ、この地中梁から自立する10本の鋼管柱で村国座本体の主柱を補強するという工法が採用されました。
復原について
建物を解体した際、建っていたときには目に触れることのなかった部分が光の下にさらされ、建物の変遷や構造が明らかになります。平成の大修理では、建物の部材を丁寧に組み解き、鋸目跡や釘跡など部材に残る痕跡を一つひとつ精査して、どの時代にどのような手が加えられたかを検証しました。こうした痕跡調査を基に、村国座本来の姿を復元しました。
修理前の村国座の様子
修理前の村国座の損傷状況
「安全祈願祭」から「土間の叩き仕上げ」まで
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