形の秘密は、当時の髪型にあり

ページ番号1005253  更新日 令和3年2月12日

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箱枕

箱枕の画像

 2本足で立ち、体重の約10パーセントの重さがある頭部を支えるため、人間の骨は、首から背中にかけてS字にカーブしています。そのため、寝るときに必要になるのが、私たちが毎日使っている「枕」です。

 写真の枕は、戦後まで使われた箱枕(はこまくら)という枕です。木製の箱形の台の上に、くくり枕(両端をくくって留めた俵形の枕)を乗せて使いました。明らかに現在の枕と異なる形ですが、これには理由があります。

 昔の女性は、寝るときも髪を結ったままでした。大きく結った髪のまま寝られるよう、こうした細い枕を使って、横向きに眠りました。写真の箱枕の底面がカーブしているのは、寝返りをうちやすくするための工夫で、このような形状の枕を「船底枕(ふなぞこまくら)」と呼びました。

 写真の箱枕は、枕の上面までの高さが約16センチメートルもあります。この高さの理由は、横向きで寝ていたことと、枕を敷布団の上に乗せず、布団の外に置いて使っていたためです。

 箱枕は、戦後の髪型の変化や、毎日髪を洗うようになるといった生活習慣の移り変わりとともに姿を消していきました。現在の枕も、素材や形状など、数十年前のものと比べると大きく変化していますが、近い未来には、今と全く違った枕の姿になっているのかもしれませんね。

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