有舌尖頭器ってどんな道具?

ページ番号1005198  更新日 令和3年2月12日

印刷大きな文字で印刷

有舌尖頭器

二十軒遺跡出土の有舌尖頭器の写真

 有舌(ゆうぜつ)とは、文字どおり「舌がある」という意味です。尖頭器(せんとうき)とは、頭が尖った利器、すなわち槍先(やりさき)という意味です。材料は石ですので、石器(せっき)の一種になります。この有舌尖頭器を木製の棒に取り付けて槍とし、手で投げたり突いたりして、大型動物の狩りをしました。弓矢として長距離を飛ばす鏃(やじり)より、大型で原始的な石器です。

 舌(ぜつ)とはどの部分でしょうか。二十軒遺跡(にじっけんいせき)から出土した有舌尖頭器(長さ4.7センチメートル)の写真を見て分かるように、先端ではなく根元の方、つまり棒に取り付ける部分に、差し込み用の逆三角形の出っ張りが作られています。これを、舌と呼んでいます。舌を作り出すことで、両側に反(かえ)しができます。反しとは、釣り針の先のように、動物に突き刺さった後に簡単に抜けてしまわないようにする引っ掛けの部分です。

 石を上手に割っていき、最後は細かく剥がしながら形を加工していきますが、この有舌尖頭器に関しては、特に美しく仕上げられています。表面をよく見ると、細長い加工の痕が隣り合って連続しているのが分かるかと思います。一つ一つが繊細な加工の痕跡で、専門用語で「斜状平行剥離(しゃじょうへいこうはくり)」といいます。

 有舌尖頭器は、縄文時代の一番初めのころ、1万数千年前の草創期(そうそうき)と呼ばれる時代に使用されました。その石器製作技術には、大変驚かされます。

このページに関するお問い合わせ

文化財課
電話:058-383-1475
ファクス:058-389-0218
文化財課へのお問い合わせは専用フォームをご利用ください。