古代寺院の屋根を飾った、シャチホコの祖先

ページ番号1005200  更新日 令和3年2月12日

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山田寺鴟尾瓦(市重要文化財)

山田寺鴟尾瓦の写真と復元図

 この焼き物は、7世紀の終わりから9世紀後半まで、現在の蘇原寺島町にあったと考えられている、古代寺院「山田寺(さんでんじ)」で使用されていた「鴟尾瓦(しびがわら)」です。
 「鴟尾瓦」と聞いても、皆さんあまり耳なじみがないと思いますが、一体どんな瓦なのでしょうか?

 山田寺の鴟尾瓦は一部で、全体を復元すると下の図のようになります。
 「鴟」は、「とび」と読む漢字で、またブーツに似たその形から「沓形(くつがた)」とも呼ばれる鴟尾瓦ですが、実は魚の尾びれをモチーフにしたものだと言われています。瓦と魚、と聞くと、何か思い当たりませんか?

 そう、名古屋城で有名な、城の屋根を飾るシャチホコ。「鯱(しゃち)」という想像上の動物をモチーフにたもので、鴟尾が元になったと考えられています。水を呼ぶと伝わる鯱を屋根に乗せることで、火事が起きないよう願ったものです。

 鴟尾瓦も同じように、寺院などの建物の屋根の最上部に取り付けられた瓦です。現在でも、唐招提寺金堂(とうしょうだいじこんどう)や東大寺大仏殿(とうだいじだいぶつでん)などの建物に、鴟尾を見ることができます。

 山田寺の瓦は、鴟尾のちょうど先端部分にあたり、57.4センチメートルが残存しています。尾びれの筋のほか、連続する円の模様がつけられています。
 1000年以上前の蘇原地区に、鴟尾瓦を乗せた立派なお寺があったと想像すると、今の景色も少し違って見えてきそうですね。

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