古代寺院に響き渡った荘厳な音色

ページ番号1005203  更新日 令和3年2月12日

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山田寺跡出土風招

山田寺跡出土風招と風鐸・風招の例の画像
山田寺跡出土風招(左)と風鐸・風招の例(興福寺)

 奈良や京都の寺院へ行くと、仏堂や仏塔の軒の四隅から青銅製の小さな風鐸(ふうたく)がぶら下がっているのを見たことがあると思います。風鐸の中央にはひもが下がっていて、風鐸内に舌(ぜつ)、風鐸の下に風招(ふうしょう)が付けられています。風を受けて風招が揺れると、舌が風鐸の内面に当たって音が出る仕組みで、風鈴の原理と同じです。

 風鐸は、古代から寺院の堂塔(どうとう)に吊り下げられていました。古代寺院の集中する蘇原では、これまでのところ風鐸は発見されていませんが、間違いなく存在した証拠が見つかっています。それは、風招が発掘調査で出土しているからです。蘇原寺島町に眠る山田寺跡(さんでんじあと)では、平成17~21年度に発掘調査が実施されましたが、そのなかで、多量の瓦に挟まれるようにして1枚の風招が出土しました。おそらく、建物が老朽化して倒壊したときに埋まったのだと考えらます。

 緑青(ろくしょう)の錆(さび)が浮いていることから素材は銅だと分かります。また、表面全体には金鍍金(きんときん=金メッキ)が施されています。厚さは1ミリメートルと薄く、76.6グラムと軽いものです。円弧の部分の中央に、最低3カ所に穴が開けられ、2個のリベットが残っていることから、この部分を上にして風鐸に吊り下げられていたことが分かります。

 風鐸と風招は、一組だけで使用される性質のものではありません。まだ、どこかに別の風鐸や風招が埋もれていると思われます。

 古代山田寺の伽藍(がらん)に響き渡った荘厳な音色、どんな音だったのでしょうか。想像がふくらみます。

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