特異な不動明王の姿に込められた願い

ページ番号1005243  更新日 令和3年2月12日

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絹本着色不動明王二童子像(市重要文化財)

絹本着色不動明王二童子像の画像
不動明王と矜羯羅(右)・制多迦(左)の二童子

 絹本(けんぽん)、つまり絹地に描かれた不動明王(ふどうみょうおう)の仏画です。幅51.2センチメートル、長さ142.2センチメートルで、作者は不明ですが、鎌倉時代末~室町時代の作と考えられています。

 不動明王は、大日如来(だいにちにょらい)の化身とされ、右手に剣、左手に索(さく=縄)を持ち、全身に炎をまとった姿で表されます。「二童子(にどうじ)」とあるように、「矜羯羅(こんがら)」と「制多迦(せいたか)」という2人の童子とともに描かれています。

 この不動明王像は、両目を開き、頭上に蓮の花を持つなど、9世紀に空海(くうかい)が日本に伝えた初期の不動明王の特徴を備えると同時に、口元の表現や青黒い体色など、製作された当時に一般的だった姿も取り入れています。さらに、左足を曲げ、右足を前に投げ出した座り方や、下向きに策をつかみ、左右対称に描かれた左腕など、他の仏画にはほとんど見られない描き方も見られます。

 こうしたひとつひとつの特徴には、それぞれ込められた意味や解釈があり、この不動明王像の制作にあたって込められた願いが、特異な姿の不動明王となって表れているのだと言えます。

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