人々を苦しみから救う、円空作の十一面観音像
十一面観音像(市重要文化財)
この仏像は、江戸時代初期の遊行僧(ゆぎょうそう)・円空(えんくう)による十一面観音像です。遊行とは、特定の寺に属さず、僧が各地を巡り歩くことで、美濃国(みののくに)出身と伝わる円空は、美濃を中心に北は北海道まで渡り歩き、64年の生涯で、12万体の仏像を作ったとされています。
この十一面観音像は、各務西町の金山寺(きんざんじ)に伝わるもので、市の重要文化財に指定されています。高さは67センチメートル、幅21センチメートルの大きさで、正面から見ると分かりませんが、仏像の裏側は平面の板状になっています。
鉈(なた)とノミを使って仕上げたという円空仏は、どれも荒々しさと柔らかさ、素朴さが共存した独特の魅力を持っています。十一面観音像は、その名のとおり11の顔を持ち、すべての方位を見渡して苦しむ人々を救うとされます。金山寺の観音像を見てみると、円空仏特有の穏やかな微笑みはとても親しみやすく、苦しむ人にとって救いの存在となったであろうと想像できます。
円空は晩年、現在の関市池尻の地に弥勒寺(みろくじ)というお寺を興し、長良川のほとりで亡くなったと伝えられています。
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