救いを求めて描かれた千手観音

ページ番号1005221  更新日 令和3年2月12日

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懸佛(市重要文化財)

懸佛の画像
懸佛の写真(上)千手観音の像容イメージ(下)

 一見すると丸い鏡のように見えるこの文化財は、「懸仏(かけぼとけ)」といいます。名前が示すとおり、仏の姿を盤面に表し、壁などにかけておまつりするものです。

 この懸仏は蘇原熊田町に伝わるもので、直径15.5センチメートル、重さ150グラム。銅で作られ、全体的に赤く変色し、盤面の左右と、上部にあるはずの釣手(つりて=吊るすための紐を掛ける部分)が失われています。表面には、鍍金(ときん=金メッキ)をうかがわせる痕跡が見られます。

 線刻により描かれている仏は、千手観音(せんじゅかんのん)です。劣化により判別が難しい部分もありますが、正面で合掌(がっしょう)する手に加え40の脇手(わきしゅ)、頭部には11面をもち、蓮華座(れんげざ)の上に足を組み座る姿で表されています。

 製作年は不明ですが、その特徴から鎌倉時代前期のものと考えられ、江戸時代に、蘇原熊田町にある平蔵寺(へいぞうじ)北側の田の中から発見され、寺に奉納されたと伝わります。

 千手観音は、40の脇手が、それぞれ25の世界を救う(40×25で「千」となる)とされます。衣のひだや1本1本の指まで細かく描かれた千手観音の姿に、救いを求める中世の人々の心を見ることができます。

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