市の航空機産業の発展を見守る薬師如来像

ページ番号1005219  更新日 令和3年2月12日

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薬師如来座像(県重要文化財)

薬師如来座像

 この仏像は、那加雄飛ヶ丘町にある薬師寺(やくしじ)岐阜別院の本尊(ほんぞん)である薬師如来像(やくしにょらいぞう)です。

 薬師如来は、人々を病気や災難から救ってくれる存在として、古来から信仰を集めた仏です。薬師寺の如来像は、高さ約45センチメートルの木造仏で、胴や腕など部分ごとに製作したパーツを合わせる「寄木造り(よせぎづくり)」という製作方法で作られています。目は玉眼(ぎょくがん、水晶やガラスなどをはめ込む技法)で、右手は正面に向け開いた「施無畏印(せむいいん)」に結び、左手に薬壺(やっこ)を乗せています。

 仏像の底には墨書(ぼくしょ)が施され、室町時代初期である貞和(じょうわ)2年(1346)に、道弁(どうべん)という僧が手掛けたことが記されています。

 この薬師如来像が那加雄飛ヶ丘町に安置されていることは、市の産業の発展と密接に関わっています。

 薬師寺岐阜別院は、昭和13年(1938)に開山した寺院です。大正6年(1917)、現在の航空自衛隊岐阜基地がある場所を中心に、陸軍の各務ヶ原飛行場が開設されると、飛行場周辺に関連工場が相次いで建設されました。こうした中、昭和12年に設置されたのが川崎航空機工業(現在の川崎重工業株式会社)各務原工場で、神戸から移住する約1200人という従業員を受け入れるため、社宅群とともに病院、学校といった福利厚生施設が急きょ整備されました。これらの施設とともに薬師寺岐阜別院が開かれ、昭和21年に奈良県の薬師寺本山から遷座されたのがこの薬師如来座像です。

 今日に至るまで、全国有数の航空機産業のまちとして発展を続けてきた各務原市。この薬師如来像は、そんなまちの発展の証人ともいえる存在です。

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