実は「狛犬」は片方だけ?優美な木造の彫刻

ページ番号1005217  更新日 令和3年2月12日

印刷大きな文字で印刷

木造狛犬(市重要文化財)

木造狛犬の画像

 蘇原古市場町にある加佐美神社(かさみじんじゃ)に伝わる、木造の狛犬(こまいぬ)です。

 向かい合う2体をよくご覧ください。少し違っていることに気が付きませんか?左側の1体が口を閉じ、1本の角を持っているのに対し、相対する右側の1体は口を開け、角も生えていません。

 あまり知られていませんが、「狛犬」というのは、元々は左側の角のあるものだけを呼ぶ名前です。では、右側のもう1体は?というと、実は「獅子(しし)」といいます。平安時代の書物に、角や開口の有無、体の色など、狛犬と獅子との違いについて書かれたものもあります。狛犬は、大陸に生息するライオンが中国で聖獣となり、それが日本に伝わって貴族の邸宅や神社などを守る守護獣となったものですが、いつしか狛犬と獅子を合わせて「狛犬」と呼ぶようになりました。

 加佐美神社の狛犬は、こうした古来の狛犬と獅子の違いをしっかりと表現した彫刻です。犬でいう「おすわり」の姿勢をとっており、高さは約115センチメートルです。渦状の巻毛や波立った口元、胴部の筋肉の表現など、とても写実的で優美なつくりとなってます。製作者や年代は、はっきりとは分かりませんが、江戸時代前期の作品だと考えられます。

 現在、神社で見かける狛犬は、参道など屋外に設置されていることが多く、耐久性などの理由からそのほとんどが石造ですが、この加佐美神社の狛犬は屋内に安置されているため、中世に多く見られる木造で、傷みも少ないよい状態で保存されています。

このページに関するお問い合わせ

文化財課
電話:058-383-1475
ファクス:058-389-0218
文化財課へのお問い合わせは専用フォームをご利用ください。