各務原市の特徴的な植物

ページ番号1001537  更新日 令和3年2月12日

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 植物はどの地域にも同じ種類のものが生息しているわけではありません。地域の特徴に応じて育つ草花は違ってきます。また、その地域の特徴に自分自身を適応させる植物もあります。ここでは、各務原市に生息している珍しい植物を紹介します。

ミカワバイケイソウ (ユリ科)

ミカワバイケイソウの図

 植物研究者の井波一雄氏は、1960年代に「伊勢湾を取り囲む扇状地内の山地に限って特産したり、分化変形をしている植物の一群」を「周伊勢湾要素植物」と定義しました。その一群の中の一つにミカワバイケイソウがあります。
 ミカワバイケイソウの花期は5月で、高山植物のコバイケイソウと全くそっくりです。ミカワバイケイソウは、コバイケイソウの変種で、葉は細く花は穂があらく長いこと、そして葉の裏の脈上に毛のような突起があることで区別できます。

高山植物のコバイケイソウとそっくりな植物が、なぜ各務原市に自生しているのでしょうか。それは、自生地が、湿地で、かつ落葉広葉樹の地表面の光が当たらないところだからです。低温と生活形という条件を適応させているのです。岐阜県の絶滅危惧のおそれのある野生生物で絶滅危惧2類(環境省:絶滅危惧2類)になっています。


ミカワバイケイソウの写真

シデコブシ(モクレン科)

シデコブシの分布図

 ミカワバイケイソウと同じ周伊勢湾要素植物にシデコブシがあります。シデコブシは、日本固有種で、岐阜、愛知、三重の限られた地域しか自生していません。モクレン科で、この仲間の花は、多くのおしべが、らせん状にとりまいた中に数多いめしべがらせん状に重なっています。したがって、最も原始的な花のつくりをしていると言われ、白亜紀終わりころ、6,500万年~1億3,000万年もの昔に出現したというのです。


シデコブシの図

 シデコブシの花期は3~4月で、花びらが12枚から18枚と多く、その形が玉串やしめ縄につける四手(しで)に似ていることから名がつきました。花の色は個体差があり、純白から濃いピンクまであります。
 最近は遺伝子の多様性を研究するようになってきました。地域集団間での変異の違いを示す指標の一つに「遺伝子分化係数」があります。調べてみると、このシデコブシは「遺伝子分化係数」が、非常に大きな値になりました。つまり姿は同じでも、生育域が数百メートル離れていれば、遺伝子が違っていることがあるのです。このシデコブシも岐阜県の絶滅危惧のおそれのある野生生物で絶滅危惧2類(環境省:準絶滅危惧)になっています。

ヤマモモ(ヤマモモ科)

ヤマモモの写真

 ヤマモモは、常緑広葉樹の高木で、おすの木とめすの木に分かれています。これを雌雄異株といいます。メスの木には、直径1から2センチメートルの赤紫色で球形の果実がなります。この果実は甘酸っぱくおいしい実でそのまま生で食べることができます。そこからヤマモモという名がついたそうです。
 ヤマモモは暖地性の植物で、岐阜県では、美濃地方の暖かい地域にわずかに自生し、各務原市は北限域に属します。このめずらしいヤマモモが、鵜沼の宝積寺のアカマツ林の山中で自生しています。昭和51年9月には、各務原市の天然記念物に指定されました。

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