安積の森の調査と保存の提案について
提案
現在、安積の森(中世館跡)の発掘調査が行われていますが、古代層から「羊形硯」が出土しました。羊は、当時の日本にはいませんが、メソポタミア時代から平和と繁栄の象徴であり、シルクロードを通ってこの地に伝えられたものと思われます。
587年に、蘇我氏が物部氏を倒して仏教を広め、「和を貴し」とする思想が広まりました。おそらく、この硯はそのころに安積の森に伝わったものと思われます。それを伝えた人物として蘇我倉山田石川麻呂が推定されます。
この森を中心に、南に国衙、西に山田寺、北に飛鳥田神社、東に東門町、西に西門町が位置しています。ここに石川麻呂の館があっても不思議ではありません。これらを立証するさらなる古代層の発掘調査を強く要請する次第です。
さらなる調査によって、この地が歴史的に重要なものであることが明らかになります。同時に、わが市にとっては価値ある文化遺産となります。どうか、後世のためにこれを保存する施策を講じていただきますようお願いいたします。
(令和7年11月7日受付 寺田 誠知さん)
回答
野口町中世館跡の保存について、ご意見をありがとうございました。
市といたしましても、野口町中世館跡は平地に良好な状態で残る希少な遺跡と認識しており、その保存については、これまでに土地所有者や関係者と話し合いを重ね、方法を検討してまいりましたが、史跡指定など遺跡の保存措置には至りませんでした。
このたび、館跡全体の土地造成(土地を平らにする工事)が計画されたため、市と開発業者が埋蔵文化財の取り扱いについて事前協議を行った結果、「外周の土塁については削平するが、館跡と堀は現状保存(埋没したまま保存)する」という結論に至りました。また、文化財保護法に基づく手続きを進めたところ、削平される土塁部分については記録保存のための発掘調査を行うよう岐阜県から指示があり、現在、発掘作業を進めているところです。ご理解のほどよろしくお願いいたします。中世館跡の歴史的価値は、発掘調査の報告書を作成し、しっかりと後世に伝えてまいります。
(担当課:文化財課 電話:058-383-1475)
